わかっちゃいるけどやめられねえ

 青島につづき、それともJBにつづき(?)、植木等が逝ってしまった。合掌。

 植木等の歌声ってホントにクレージーだったし、それこそ、ジョン・ライドンに匹敵するぐらい挑発的だったと思う。

 しかし、当時、クレイジーはどんな風に受け取られていたのだろう?思いつくのは、「しびれ節」の放送禁止ぐらい。ドリフの『8時だよ全員集合』は当時低俗番組としてさんざんやり玉にあげられたものだが、テレビ創成期の『シャボン玉ホリデー』にそんなことはなかったのか?

 分からないまま言ってしまうのだが、どこか昭和30年代にはその後にはないおおらかさを感じる。それはクレイジーだけではない。正月に某放送局で再放送をされていたザ・ピーナッツの回顧番組を見ていたら、あらためて作曲家宮川泰のモダンな感覚に魅了された。そもそも山下達郎のラジオ番組でやった追悼特集が気になりそれで見てみたのだが、あのたまにテレビで見かけたオーバー・アクションのおっさんはこんなにスゴイ人だったんだ。でも、これは40年代に入ると失われてしまう。他の作曲家も起用した40年代のピーナッツはムード歌謡みたい。

 また、宮川泰だけではなく、中村八大やいずみたくの楽曲を聴いても、とてもいけている感じがする*1。これは、よく言われていることだとは思うが、彼らが大先生に弟子入りして作曲を学んでというのとは違って、そのベースにジャズがあったからなのだと思う。クレイジーの面々もまたジャズメンであり、その同じ空気をすっていたのだ。

結成50周年 クレイジーキャッツ コンプリートシングルス HONDARA盤

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夢を食いつづけた男―おやじ徹誠一代記 (朝日文庫)

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*1:それから、二人の曲に歌詞をつけた永六輔のことも忘れてはならないだろう。「こんにちは、赤ちゃん」とか「いい湯だな」とか、そんなわれわれが日常口にしそうなことばを取り出して、それを歌にしてしまうセンスってスゴイと思う