21世紀の資本

 「まずひとつに、20世紀を通じて資本と労働の分配率は、かなり大きく変動した」(44頁)。「さらに、20世紀以前にまでさかのぼりもっと長期的な見方をすると、安定した資本と労働の分配という考え方は、資本そのものの性質が大幅に変わったという事実にも対応しなければならない」(45頁)。というわけで、資本と労働の分配率に加えて資本所得/比率の変化に着目する。「貯蓄率が高いほど、そして成長率が低いほど、資本所得比率(β)は高くなる」(59頁)。
 資本主義の第一基本法則 資本シェアα=資本収益率r×資本所得比率β
「欧米は産業革命を実現したリードにより、世界に占める人口比率の2倍から3倍の世界算出シェアを実現できたわけだ、あらゆる兆候を見ても、一人当たりに算出がこんなに開いた時代は終わりつつあり、収斂の時代がいまや到来している」(64頁)。「ヨーロッパが最高の経済的な地位を獲得したのが第一次世界大戦前夜、世界算出の5割近くを占めていた頃で、どれ以来じわじわと地位を下げている。米国は1950年代にピークに達し、世界算出の4割近くを占めていた」(66頁)。
「まとめると、世界の格差は、下は一人当たり所得が月額150ー250ユーロの地域から、上は2500ー3000ユーロの地域までの開きがある。つまり最高は最低の10倍から20倍高い。世界平均は中国の平均とだいたい同じで、月額600ー800ユーロだ」(68頁)。「世界の所得分配は産出の分配よりも格差が大きい。なぜなら一人当たり産出が最高の国々は、同時に他の国の資本も持っているはずなので、一人当たり所得の低い国にある資本からの所得フローの一部を受け取る可能性が高いからだ」(72頁)。「まとめると、国際レベルでも国内レベルでも、収斂の主要なメカニズムは歴史体験から見て、知識の普及だ。言い換えると、貧困国が富裕国に追いつくのは同水準の技術ノウハウや技能や教育を実現するからであって、富裕国の持ち物になることでおいつくのではない」(76頁)。以上、第1章から。
 

21世紀の資本

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