極東委員会の設置前にGHQが草案を出したものだという意味では、この憲法が「押しつけ」であることは間違いない。しかし、だからこそ天皇制は残ったわけだし、人権に関しては言ってみれば素人が関与して斬新なものになっている。とはいえ、日本化の過程で反動も生じているし(この点で活躍したのが佐藤功である)、それまでに民間の憲法私案や政府の私的諮問機関である憲法問題調査委員会の無様な姿もこれに影響を及ぼしていることも否定すべきではない。そして、この間に豹変する宮沢俊義の8月15日革命説というのはアイデアのもとをただせば丸山政眞ということになるんだな。しかし、この憲法を押し付けたのは誰なんでしょうね。これだと米国ということもできない。「つまりマッカーサーと日本政府の保守的閣僚だけが、帝国議会でできるだけはやく憲法を成立させるという点で一致していたのである」(233頁)。
- 作者: 古関彰一
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