チェルフィッチュ「スーパープレミアムソフトWバニラリッチ」

 説明するとすごく当たり前な感じになってしまうのだが、コンビニを舞台にして、店長、バイト、客、本部の社員がそれぞれ戯画化して描かれていくのだが、実際、コンビニを舞台にして日々おきている出来事自体がとても戯画的である。それをつきつめていくとき、どんなことが起こるか。
 近くの女性たちは前作とはまったく違うと述べていたけれど、私にはそうは思えなかった。一見するとノリが違うのだが描かれている世界はとても連続していると思う。コンビニという場面で出来事を描いていくのはとてもうまいと思うのだが、これがいまどこにでも似たようなことが見られる状況だというだけでなく、昔からこんな感じだったよなというデジャヴを覚えてしまうとき、なんだかなとも思ってしまうのだった。
 とはいえ、セリフとはまったく同期していないように思えるバッハの平均律にあわせた体操のような身体の動きはなんなのだろう。そこからは、舞台で展開するストーリーとはまた違った印象を受けてしまうのであった。

遡行 ---変形していくための演劇論

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わたしたちに許された特別な時間の終わり (新潮文庫)

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