八月の鯨

 ニュープリント版。公開時、リリアン・ギッシュベティ・デイヴィスが共演して話題になった作品。一回見てるはずなのだが姉のベティ・デイヴィスが盲目だということも覚えてないほど、ほとんど記憶に残っていなかった。リリアン・ギッシュの往時を偲ぶかのようにサイレント時代を思わせる映像で始まり、あとは、丸一日の些細な出来事を描いただけ。でも、それが素晴らしい。二人の一日のなかで、変わってしまったものも、また変わらないものとしてその過去の面影を残しつつ、日常の光景のなかに描き込まれている。たとえば、妹が「一人で」誕生日を祝う一方で、姉がベッドでうなされるシーンとか。まあ、言ってみれば過去に生きる人びとのお話なのだが、末尾で姉妹二人が握り合う手はまさに月日を超えて変わらないものだ。それから、大工が出てくるたびに笑える。
 

八月の鯨 [DVD]

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