志の輔落語

 志の輔の、とりわけ新作を聞くとき、きっとこの人ってとても繊細な人なんだろうなと思う。まず、どうしてそんなとこにこだわるかというとても細かいい、しかし、指摘されるとあっと思わせるようなところに目をつけて、そこからさらに細かく掘り下げられていく。
 本日は、新作2本だけ。しかし、文句を言わせないできだった。一つ目は、「緑の窓口」。普通の新作ならあの窓口だけで適当に落ちをつけて終わらせるのではなかろうか。そこから、さらにもう一つエピソードを拾って、二つをうまくからめて噺を落とす。噺の作り込み方が伊達じゃない。新作は二度聞くと辛いということが往々にしてあるが、ここまで構成が考えてあれば、そんなやわなものじゃないと思う。
 で、本日のメインイヴェントである「大河への道」。そもそも、いったい誰が伊能忠敬の噺を作ろうと考えるだろう。志の輔しかいない。最初は漫談風の雑談から始まり、それが次第に噺に切り替わっていく、で、それが伊能忠敬大河ドラマの話につながり、伊能図を将軍に献上する場面を語りで描写しきって、また、その場面にもどる。この切り換えが、ちょうど映画やドラマで、本人の語りが映像で実話的に描写されてまた本人の語る場面にもどっていくようにお見事なものだった。ほんとに大河ドラマの決定的なシーンを見せられたような感じだ。終わり方もこってるし、はねたあと思わずうなってしまった。
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黒船

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