自己の修復

 コフートは臨床状況でおこってくる二つの不安を区別している。そして、こららは長期間にわたる共感的没入によって区別できるようなものだという。そして、無意識を意識化することによって、自己の崩壊をくいとめようとする。このとき、被分析者の心的負担となった引き金的出来事に焦点をあてるべきだという。
1、「最初の不安は、多かれ少なかれ凝集した自己をもった人によって経験される不安であるーそれらは、特定の危険状況についての恐れである。
2、二番目の不安は、自己が崩壊しはじめていることに気づきはじめている人によって経験される不安である。---。本質的にその経験の力点は自己の不安定な状態にある」(80頁)。「空間における身体と心の断片化と阻隔化、時間における自らの連続性の感覚の崩壊である」(82頁)。
 夢と夢分析についても同じようなことが言える。
1、「言語化可能な潜在的な異様を表している夢と
2、言語化可能な夢イメージの助けを借りて、外傷状態の言語化できない緊張を封じ込めようとしている夢である」(85頁)。これは自己崩壊の恐れを描き出している。こうした夢は自由連想で無意識までたどりつくことができず、夢の顕在的内容と同じレベルのイメージを提供するだけである。夢の説明にあたっては患者一般の傷つきやすさに焦点をあてる。

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