自己の分析

 鏡転移と理想化転移の背景となるのは(193頁)
①a) 断片化した身体自己の身体-自己諸核の段階(自体愛)
 b) 凝集的な身体自己の段階(自己愛)
との間の前進-退行の運動
②a) 隔離(切り離)された心理機制
 b) 凝集的で全体的な精神自己
との区分

患者は、根底にある自己イメージの障害について、はっきり気づくことができず、したがって、そのことを分析者に伝えられなくて、分析を始めるにあたって嘘をついたり、金銭的に何か不正直であったり、他のいささか欺瞞的と思えるゆな行動をとったりする(188頁)。

 分析者はこれを軽視してはならないが、非難してはならない。そこにある隠された意味がなにかを話あう。このような障害が出現する背景には、自己についてのひいて外的世界についての現実感が不完全なことにある(189頁)。そうしたときは、欠陥を自由に展開させるにまかせ、欠陥の分析を行えるようにすべきである。
 失策のような外傷状態。「自己愛的な患者は、失策を思い出したとき、過度の羞恥と自己嫌悪の感情で反応しがちである」(208頁)。患者の外傷状態は、分析者の正確な解釈に対応してよう自他ものであり、子供時代、自分の周囲にいた一人のたいへん重要な人物の適切で共感的な反応を、手に入れることができなかったことによる。
 

自己の分析

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