自己の分析

 この領域の私の当面の最後の課題であるコフートを読む時期がきたのかもしれない。解説で分かりやすいと書いてあるし、分かりやすい解説書もあるけど、何しろ、自己愛性人格障害の診断は転移で分かるという風に書かれると門外漢にはついて行きにくいな。本文に入ったらどうなるんだろう。それはともかく、
 自己愛性パーソナリティ障害においては、自己(誇大自己)と原始的な自己対象のうちのいずれか、もしくは片方が固着しており、人格の残りの部分と統合されていない。ただし、凝集的な自己を獲得しており、凝集的で理想化された原始的対象を作り出している(という点で、精神病や境界例より軽度だということになる)。「彼らが他人と距離をとるのは、ただ単に自分は自己愛的に傷つきやすく、退行傾向を持っているという正しい査定の自然な結末である」(11頁)。
 その特徴は①性的領域では、倒錯的空想、性への関心の欠如。②社会的境域では、仕事上の抑制、重要な対人関係をつくったり維持したりできないこと、逸脱的な行動。③顕在的なパーソナリティ特性でいえば、ユーモアの欠如、他人の欲求や感情に対する共感性の欠如、調和の感覚の欠如、発作的で制御されない憤怒への傾向、病的な虚言。④心領域では、身体や精神の傾向についての心気症的なこだわり、さまざまな器官系統の自律神経障害(21頁)。
 というわけで、コフートによれば自己愛性人格障害は、転移が生じるという点で、境界例統合失調症と区別され、精神分析で治療可能である。これでいけば、カーンバーグは対象を拡大したことになるのかな。しかし、原理論としてはともかく実際にはどれくらい成功しているのでしょう。そもそも、こういうのってスペクトラム状に展開するのではないのかな。のみならず、うまくいかないことが多いとその筋の知人からは言われているのですが。
 

自己の分析

自己の分析