続日本精神史研究

 さしあたりの話とは関係ないのだが、和辻のこういう視点は面白いと思う。「しかし我々はさらに法会供養というごとき仏教的儀式そのものを一つの芸術と見ることもできるそこには経典を朗唱しょうし、あるいは儀式的に動作する僧侶がある。彼らはちょうど演劇における俳優の地位に立っている。ところでこの俳優の表現しようとするものが、同時にまた経典の与える幻想によって惹き起こされた芸術的法悦でもあり得るのである。そこで我々は法会供養の役者として能動的な立場における芸術的法悦の表現を問題とすることもできる」(386頁)。たしかに、お経聞いてると気持ちよくなるもんね。