倫理学

 この本、後半は読み飛ばしてるから再訪は仕方がないかな。しかし、文庫で300頁以上ある本を読むのがだんだんふつうな感じがしてきたのはよい兆候なのだろうか?それはともかく、和辻の「主観的実践連関」という言葉は怖いな。結局、それが何として自覚されてくるかは(和辻の都合のよいように)あらかじめおりたたまれているのだな。「そうして歴史的自覚が超国家的場面において引きおこされたように、国土の特性の自覚、すなわち風土性の自覚もまた超国家的場面において現れてきたのである」(266頁)。昔誰ぞの弁証法を解放するという話があったが、ここでは必ず国家に収斂するのだな。もちろん、世界性の指摘もあるとはいえ。
 

倫理学〈3〉 (岩波文庫)

倫理学〈3〉 (岩波文庫)