円安考
私は金融緩和は必要な措置だとは思うけど、それに伴って生じる円安は輸出企業には歓迎でも、内需依存型の産業や消費者にとっとは必ずしも望ましいことではない。ここで政策的に生じる円安は、内需依存型の産業や消費者に税金をかけて、それを補助金として外需依存型の企業に回しているのに等しい(税金と同じ効果は金融財政裁策でも得られることをおぼえておきましょう)。これだけだと、小泉政権のときがそうだったように国内でのデフレ基調は改善するまい。国内できちんとした雇用と内需の拡大を確保することが必要だが、こちらがどれほどのものになるのかはよく見えない。
ちなみに、消費税増税を支持した財界が今度は金融緩和を求めるとはどういいことって感じだが、これは外需依存型の産業にとって消費税増税はさしたる意味が無く*1、金融緩和で円安がすすめばさらにというわけで、これでは外需依存型の産業つまりは、財界の大手を支援しているだけのようなもの。こうなると、財界は政権を使い捨ててその都度、都合のよい政策を採用させてるだけですな。財務省も、消費税増税がとおったいま、金融緩和を嫌がる様子もないし。麻生氏が財務大臣ということは財界を代弁しているようなものでしょう。
しかし、外需の拡大だけで消費税を上げ、円安基調が続けば、ほんとに国民を食い物にして外需依存型の産業を支援しているだけになってしまう。とりあえず金融緩和を支持する私は、そこから先の政策がどうなるかが肝心だと思っている。しかし、この先について、安倍政権は極めてこころもとないと言わざるをえない。従来型の公共事業の他になにがあるのでしょう?ちなみに、教科書によればインフレになると賃金は一番最後にあがる。しかし、(少なくともそれほど)あがらないのではないかというのが私の不安。すでに、非正規雇用と正規雇用の賃金格差は少なくなる傾向にあることが指摘されているし、これでワーキング・シェアが実現するのだとすればすごく不幸な社会だな。とりあえず、岩田先生の本で勉強し直します。

- 作者: 岩田規久男
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2009/03
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