和辻の『風土』を読み返すたびに思うのは(といっても実は二度目なのだが)、なぜ最初の空間性の話が、モンスーン、砂漠、牧場という弁証法的な関係にある類型に解消されてしまうのだろうかということであった。
この点、再読しても、印象は変わらない。間柄が国民共同体の収斂するのと同じくらい恣意的だと思う。なぜ、空間を問題にするなら、素朴に「棲むこと」を問題にしないのだろう(これは、同時に「棲まない」(ある意味定住しない)という可能性を胚胎させている。
これだと今となっては面白い読み物以上にはなりにくいのでは。あるいは、昔、一冊ぐらい読んだ中尾佐助は和辻となんか関係があるのかな。たしか、ボルノーは空間の話をしてたよな。面白くなさそうだから読んでないけど、頁をめくってみるべきなのだろうか?
- 作者: 和辻哲郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1979/05/16
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