モバイルハウスの作り方

 さて、地震に弱い家と地震に強い家はどちらがよいのだろう。地震に弱い家は崩れやすい代わりに、比較的安全だし、簡単に立て直せる。地震に丈夫な家は耐震強度を越えた地震なら却って凶器と化しかねない。決壊しやすい堤防と「絶対決壊しない」はずの堤防はどっちがよいのだろう。決壊しやすい堤防だったら、あらかじめこれくらいだったら決壊するとうことを想定して、どこなら決壊させても大丈夫か、を考えておくことができる。「絶対決壊しない」はずの堤防は決壊したら、もうどうなるかわからない。さて、どっちを作る方が賢いのだろうか?もちろん、金がかかるのは後者だ。
 話は変わるがまだ若かりし頃、家族と一緒に暮らすのが嫌になって、といって生活費をまともに稼いでいたんじゃ、本来、自分がやるべきことに当てる時間が減ってしまう。だったら、あの空いた駐車場に小屋建ててそこをねぐらにすることぐらいはできんだろうかと思ったことがあった。
 この映画の主人公といっていい坂口恭平ってひと圧倒的に面白い。建築家なのに自分で家を設計しない。で、町中を歩きながら面白い建物を探している。そんな彼が注目したのは路上生活者の家だ。路上生活者の家はとっても便利にできている。多摩川河川敷は本来、建築物があってはならないということになってるらしく、一月に一度検査がくるが、2,3時間もあれば簡単に解体できるし、またすぐに組み立てられる。壊れたってもともと安上がりにできてるから、簡単に作り直せる。自動車の古いバッテリーを拾ってくればテレビだって見られる。床もちゃんと作って湿気は防止する。
 これをモデルにして家を造ろうとした坂口は路上生活者におそわりながら(どっちが建築家なんだ!)自分の家を作る。一つ変えたのは車輪をつけたところ。もっとも、その車輪も路上生活者に選んでもらってる。で、車輪がつくとこれは家ではなく車という扱いになって、そう駐車場を借りてそこに置くこともできるのだ。この発想、斬新でなおかつあまり面白すぎる。それから、熊本に移り住んで、国の作り方とかまたまた面白いことを語り始める。要注目。
 
http://www.0yenhouse.com/house.html
 

独立国家のつくりかた (講談社現代新書)

独立国家のつくりかた (講談社現代新書)