立川志らく独演会

 なんだか談志が死んでから志らくの会にも人が集まるようになったみたい。最初に、「あくび指南」と先代の金馬が懐かしい「居酒屋」(ちなみに、この話は先代の金馬のオリジナルだったはずで)他の人が演るのを聴いた記憶がない。それをデフォルメしてやる。二つやると、前回の「鼠穴」イマイチだったこともあり、この人こうした小ネタをデフォルメする方がやっぱりうまいのかなと思う中入りの後、志らく自身がとりわけ地方に行くと大ネタ期待されるし、大ネタやらないと落語家として低く見られるからとか能書きをたれつつはじめた「柳田格之進」、それを聴けば最初の言葉がただのてらいだったことがわかる。いや、この話自信たっぷりにやったはずだ。また、それだけの迫力があった。お見事。ただ思うんだけど、碁盤を真っ二つに切って白黒の碁石が混じりながらざーっと流れていくとき、もう格之進のいわく言いがたい複雑な情念は十分描ききられているように思う。そこまでが見事だったので、オチがとってつけたような感じがしてしまった。

雨ン中の、らくだ (新潮文庫)

雨ン中の、らくだ (新潮文庫)

 
 おまけに。ボギーは"The beginning of a beautiful friendship"っていうんだよね。つまり、friendshipは数えられる具体的なもの。もちろん、抽象的に使うこともできるが。同じことはrelationshipについても言える。何かというと、これを「関係性」と訳す人たちの日本語の感覚とこの言葉の理解について私は深い疑念を覚えている。