以前から気になっていた本を手に取ってみた。副題は「京都における「市民」形成市」だが、基本的には町の成立を論じたもので、堺や博多も似たようなものと考えてよいのかな。
基本的には、「惣村」の成立に相応ずるようなかたちで、町および町衆が登場してくる。土一揆に対抗するかたちで、町は土倉と連帯し、没落公家衆も含み込んでいく。町衆の宗教は次第に法華宗に収斂していき、一向一揆に対抗するかたちで法華一揆が組織されていく。
この法華一揆には、反農民的な動きのほかに、京都の支配権をにぎり、封建的収取をまっこうから否定するような動きもあった。法華一揆が挫折する一方、上層(「旦那衆」)と下層の町衆が分離していき、封建体制に組み込まれていく。
- 作者: 林屋辰三郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1990/06
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (12件) を見る