『私が、生きる肌』

 アルモドヴァルの新作。相変わらず、アモドヴァルの描く情念の世界はすごいな。ここにあるのが愛なのかそうでないのかとてもきわどいと思うけど、そのきわどさが愛というものの手触りを感じさせる。基本はヘーゲルの主と奴の弁証法だよなと思いつつ。時間の往復とよく似たシーンの反復がまさにこのわからなさを分からないものにさせる。やはり、凡百の恋愛映画は絶対にここまでたどりつけない。それに、この映画をみたら、まずフランケンシュタインを思い出さないわけにはいかないだろう。衣裳はジャン・ポール・ゴルチエがやってて、小道具としてドル−チェ&ガッパーノがうまく使われてる(とても、手が出ない世界の服)。