「貯金せんように」

 河村名古屋市長が、市民税5%減税を前にこう述べたそうな。しかし、給与所得者の大半にとって減税額は微々たるものに等しい。もともとは公共サーヴィスにあてるものだというが、だったら、最初から減税などせずに市民に必要なサーヴィスの提供にあてればよいのだ。しかも、なぜかメディアはこの点をまともに報じていないように思うのだが(まあ、自分たちも恩恵を受ける側に回るからな)、市民税には住民税分と法人税分があり*1、当然ながら、減税の恩恵を受けるという点では法人の方が市民よりも圧倒的に大きい。この論法が通用するなら、会社は内部留保しないように、投資するように、もっと雇用するようにということになるが、そんな声は聞こえないし、企業もそんなことに耳を傾けることはないだろう。こんな減税するくらいなら、雇用につながり、市民へのサーヴィスが充実するような分野(たとえば、教育や福祉)に予算をふりむければよかったのだ。あるいは、景気がよければつぶれないですむ中小企業の支援をすればいいのに。あほらしい。一体この減税がどこを向いてるのかもっと考えようよ。
 
(追記)30日『朝日』夕刊に市民税減税を取り扱った記事が出ていた。見出しは明らかに給与所得者を想定したもので、収入と家族状況でいくら減税になるかが表にもなっている。記事を細かく読んでいけば、市民税のなかには法人税減税分もあると書いてはある。しかし、最近、この手の記事多くないか?見出しや図表の類はかなり片寄っていて、細かく読めばバランスとれてますみたいなヤツ。あるいは、社説とか大きな記事と小さな記事では正反対なことが書いてあるようなヤツ。減税総額は年間78億円だそうな。しかし、そのうちのどれだけが住民税分でどれだけが法人税分かは書かれていない。総額が分かるんだから、割合だってわかるでしょう?それなのに、寄付しろとか、住民税分だけこだわっている。これって誠実な報道のあり方なのだろうか?いったい法人税分はどれくらいなのか?それがどんな意味をもつのか?そんなことはちっとも書かれていない。本来なら、それって減税の是非を問う大きな材料なはずだ。でも、新聞はそこまで見せてくれないんだよね。まあ、知らべようと思えば調べられるんだろうけど。

*1:簡単には、http://ja.wikipedia.org/wiki/市町村民税