渡辺京二氏の講演集。第一章はなんだかなという感じだけど、その後はのちに書物になる議論の前身となる議論が、著者の口からストレートに語られる分だけ面白い。
誰が言っていたのかでしょうか。戦前の右翼が言っていたのです。大アジア主義者がこういうことをずっと言ってきたのです。アジアは精神的、ヨーロッパは物質的といういいかたは、戦前において岡倉天心から始まって、右翼や、大アジア主義者の常套句でありました。日本の郡部もそんなことをいってました。文字どおり耳にタコができているのです。ところが、オールコックがそういうことを言っているのであります。---。オールコックはその点表現力がありません。でもオールコックがこのことを言おうとした時、大アジア主義とおなじ表現になったというのは面白いですね(187頁)。
そうすると、いま起こりつつあることが*1、一面、アジア的共同体や江戸時代への回帰だったり思えてきたりもする。まあ、確かに政治がわれわれの生活のすべてではない。だが、そうするともう少しまともな為政者にでてきてもらわねばならないし、そのためのリクルート・システムだって作り直さなければならんわけで。この経済状況下、年齢構成も適切な人員規模も考えずに、ただ公務員の採用数を減らすというのではお話にならんですな。
- 作者: 渡辺京二
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2011/07/06
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*1:たとえば、