出たときは西阪さんの本もっと漠然と読んでいたな。改めて読んだら、ちょうどこちらが確認したかったことが書いてある。しかし、もう一冊の方が発掘できなくて困っている。
参与者のふるまいによって一定の相互行為空間が開かれると。
相互行為空間は参与者たちの参与のしかたであり、同時に参与者たちの行為・知覚を組織する枠組みであった(40頁)。
そのなかで、「対象」は「対象」という位置づけを得る、と。
あるものが、特定の参与フレームのなかで「対象」という位置づけをえる。言いかえれば、ある特定の活動を遂行するための相互行為空間が組織されるなかで、つまり、特定のしかたで参与者の身体が配置され参与者の振る舞いが編成されていくなかで、ものは「対象」として組織される。であるならば、特定のものが「対象」であるのは、それが参与者たちの身体の配置のなかで、その身体の志向空間を介して身体の配置に連なることによってであるということになろう。そのような意味で、「対象」は(さらには「道具」も)「身体の延長」だと言ってよいと思う。「対象」(や「道具」)は、参照者とは独立に、あらかじめどこかにあるわけではない。それは、むしろ、参与者の参照アイデンティティとともに参与フレームを構成する、参与フレームの要素である。だから、あらかじめ一方に対象(や道具)があり、他方に人間がいて、その両者が「相互作用」を行うというような考え方は、もはや通用しないはずだ(93頁)。
この本の一部になっている論文がのってる『認知科学』は、なぜかわが図書館に入っていないのだが、オンラインで読めるようになっている。http://www.jcss.gr.jp/kikanshi.html
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