いつの間にかAIBOの話を聞かなくなってしまったが、生産中止になっていたとのこと(中古で安く買えるなら試しに買ってみようかと思ったが、中古でも結構な値段だな)。その理由は「飽きた」ということらしい(まあ、ふつうのペットにも人間は飽きてしまうものですが)。これはどうしてか?著者の谷口によれば、
人間と相互作用する現在の多くのロボットは、そのための法則をさまざまに埋め込まれて刺激反応的に振る舞うように設計されている。---。この決まったルール故に、ユーザはそのうちの大半のパターンを経験し終えたら、それ以上の相互作用の喜びが湧かなくなってしまうのではないか。
ペットロボットの行動はペットロボットという主体の行動と見られるのではなく、その向こうに存在する設計者の操作結果のように見えてきてしまう(11頁)。
著者は、こうして飽きてしまうことを「志向的構え」が解けて「設計的な構え」ないしは「物理的な構え」が現れてくると表現しているが、この理解が以前言及した上野のそれはとまったく正反対のものであることは興味深い*1。そして、*2のように述べていた私が、この見解に首肯してしまうのはおわかりいただけるだろう。では、この本のその後の議論についてはどうだろう。実は、ちょっと不安を感じている。環世界との相互作用とか言いつつ、なんで結局は話を環境認識からはじめてしまうんだろう。環境の認識は何らかの活動と結びついてるはずなのに。
人間が環境との相互作用を通して徐々に行う概念形成のプロセスを計算論的に理解することが、環境と相互作用しながら概念形成を行うことができる自律ロボットを作りだすために重要である(62頁)。
この本とか参考にしてみてくれないかな。
Interaction and the Development of Mind (Studies in Interactional Sociolinguistics)
- 作者: A. J. Wootton
- 出版社/メーカー: Cambridge University Press
- 発売日: 2005/11/10
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コミュニケーションするロボットは創れるか―記号創発システムへの構成論的アプローチ (叢書コムニス13)
- 作者: 谷口忠大
- 出版社/メーカー: エヌティティ出版
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