社会構造とゼマンティーク1

 で、次にこれを読むとこうしたて内閉化していく過程が分かる。「とくに宮廷や上流社会での生活にかんする同時代の文献からは、上流階層における行動がますますコミュニケーションとしてのみ考察され、分析され、洗練されるさまが、明らかに読み取れる」(89頁)。「これと並行して、大国フランスの宮廷は出世のシステムに転換する」(91頁)

「要約すると、宗教も、政治も、経済も、非相互的な関係に、その意味で非社会的な関係にもとづいていることが、確認される---。これに対して、社会性は洗練された相互行為に後退し、そこで自己言及的な深い視点を備えるようになる。だが全体社会は社会的実体だから、全体社会が何であるべきかは、相互行為の観点から再定式化される。相互行為が全体社会に投影される」(117頁)。

 つまり、宮廷は出世のためのコミュニケーションしかやることがなくなる。それがどんな段階を経ていくかというと以下の通り。

「全体社会システムの階層分化から機能分化への移行は、上流階層の相互行為の負担を軽減し、相互行為システムのよりいっそうの分出を可能にする。---。十七世紀には、資質が業績に次第にとってかわり、最終的に一七〇〇年ごろには、業績が相互性にとってかわる。ここでいう相互性とは、相互反射的な二重の偶発性、相互補完的な行動の予期、社会的な自己の関係づけという意味である。資質、業績、相互性という三つの形態はみな、上層の相互行為にかんして過剰に要求され、規範化され道徳化される」(137頁)。

 

社会構造とゼマンティク 1 (叢書・ウニベルシタス)

社会構造とゼマンティク 1 (叢書・ウニベルシタス)