小集団の時代

 放り出してあった本をもう一度拾い出して拾い読みしてみるコーナー。主題は面白いし、関心を惹くトピックもあるのだが、マフェゾリの書くものって悪い意味で衒学的でおフランス的で読んでいて嫌になる。問題になっているのは、「ますます成長する群衆化と、わたしが《部族》と名づける小集団の発達ととの間に生ずる絶え間ない往来というパラドクスである」(10頁)。

分析される諸形態の中には、この著作の中心に位置する部族性(小集団)の形態があることは確かだ。部族の形態に先行するのは、感情的共同体の形態であり、その共同体の根底を作り上げている力と社会の形態である。そして、部族の形態の後には、多文化主義のさまざまな形態と、その結果である近接性(プロクセミー)の形態が続くのである(12頁)。

 

小集団の時代―大衆社会における個人主義の衰退 (叢書・ウニベルシタス)

小集団の時代―大衆社会における個人主義の衰退 (叢書・ウニベルシタス)