自己の発見

 ひとまず読了。正直、ことばにつまってしまうところがあるが、とりあえず、未読の本の知識が入るし、概説書としては便利。通史としては異色で、アプローチそのものはユニーク。群衆論を取り上げたのも評価したい。しかし、とりわけ前半、エリオットの個人主義の類型を適用して記述していく必然性がよくわからないし、十分適用できているのかどうかもよくわからない*1。むしろ、産業社会の展開にともなう大衆社会化状況の到来。高度消費社会の実現と生活世界の植民地化。表現の仕方はいろいろあるでしょうが、そうした流れのなかで、社会学者の自己の語りの変遷を追いかけるものだとまとめてしまった方がわかりやすいと思うのだが、そのあたりは紹介されている社会学者それぞれの議論に任せてしまっているので、発見される自己の背景の見取り図が見通しの悪いものになってしまっている。

自己の発見―社会学史のフロンティア―

自己の発見―社会学史のフロンティア―

*1:

The New Individualism: The Emotional Costs Of Globalization

The New Individualism: The Emotional Costs Of Globalization