「ヒアアフター」

 またもよや夜な夜な映画へ(もうこんな時間割やめにしたい)。『ヒアアフター』って、訳せば「彼岸」ってことになるのかな。イーストウッドの新作を早速、ということで行ったのだけど、夜遅くとはいえ、公開直後にしては客が少なく、やたらと席を立つ人もいたりしたのだが、でも、
 いきなりフランス語で会話するカップルで始まって、え、これ、どこの映画みたいな感じを残したまま、怒濤の津波、それで見せるだけ見せておいて、あとは何も起こらないというか、三つのドラマがちょっとした波乱をはらみつつもしっとりと進行していきやがてそれらが交差してとってもオーソドックスに話が終わってしまう。
 ドラマの一つは双子をめぐるものだが、題材からして双子が出てくるのは自然かな。そこにあんな地下鉄での出来事があって、でもさしたる見せ場にはしないで、最後には落ちるところに、それもあっさりと話が落ちるのだが、でもその流れがとても自然に感じられてしまう。
 こんなやり方で、しかもこんな題材を取り上げるってありなのかって映画になりかねないはずなのだが、それが苦しみを抱えて生きる人たちが交錯する情感あふれたドラマになってしまっている。イーストウッドっていったい何者なんだ。なんか前作あたりからそれまでとちょっと感じが変わってきたような気もするのだが、でも『チェンジリング』みたいな作品もあったからなー。どうなんだろう。

 まあ、私のくだらない感想よりも黒沢清監督のこれを。
http://ceron.jp/url/intro.ne.jp/contents/2011/02/14_1735.html