『いじめの構造』

 こちらも新書本が出ていたので読んでみた。さて、最初の本の方はどんな内容だったっけ。
 「ここで問題にしているノリの秩序(群生秩序)では、共同生活のその場その場で動いていく「いま・ここ」が「正しさ」の基準となる。強制された学校コミューンの局面ごとに刻々と動いていく「いま・ここ」の雰囲気のメリハリ(ノリの強度)が、そのまま個を越えた畏怖の対象となり、規範の準拠点となる」(38頁)。
 そのうえ「みんなの感情共振的なノリの秩序のなかで、誰がどのくらい存在感を持ってよいか、楽しげに存在してよいか、幸福そうに笑ってよいか、といった身分は厳格に定まっている」(42頁)。だから、「彼らは、こういった自分たちなりの「よい」「悪い」を体得しており、それに対してかなり自信を持って」おり(29頁)、「「群生秩序の「いま・ここ」のもとでは、いじめは「よい」」(45頁)。
 その秩序の作動は、仲間を媒介として生じる不全感から全能感への反転現象として説明される。「空騒ぎしながらひたすらノリを生きている中学生のかたまりは、無秩序・無規範どころか、こういったタイプの集団的全能具現の秩序に隷従し、はいつくばって生きている」。しかも、「こういったことのすべては「やっても得こそすれ、損をしない」という計算のうえで成立している」(157頁)。

いじめの構造―なぜ人が怪物になるのか (講談社現代新書)

いじめの構造―なぜ人が怪物になるのか (講談社現代新書)