アデュー・フィリピーヌ

 今週はひたすら訳文のチェックをやっては映画を見に行っての繰り返し。一本目、ジャック・ロジエの処女作。とにかく見ていて気持ちがよくなる映画。久々に映画をみてすっごい開放感に浸された。ストーリーはあるようなないような、とにかく、二人の女の子が同じ男の子を好きになって、いろんなことがあってという他愛のない話が続いていくんだけど(もっとも、その男の子の方はもうじき徴兵。それもアルジェリア戦争時代)、そんな彼女たちの底抜けに明るい姿がとても自然だし、彼女たちが歩き回るパリやコルシカの情景がとても瑞々しい。水着の小娘が出てきてってあたりはロメールみたいなんだけど、目線がロメールとはなんか違う感じがするし、映像から受けるあの感じは『勝手にしやがれ』あたりのゴダールに近いと思う。前半だと、テレビ・ドラマの生放送をやってるところなんておーって感じだったけど、とくに、コルシカへ行ってからがよくて、小娘二人がコルシカに着いてみんながダンスを踊るシーンなんてまるでドキュメンタリーみたいだったし、最後の方で二人がそれぞれ男の子と踊るところなんかもよかった。遊び心も感じられるし、とにかく、ストーリーとは関係なしに、とても自然に撮れてしまっている映像が不思議というかとっても楽しい。