立川談春「談春のセイシュン」

 『en-taxi』の最新号を買ってきた。で、買ってくると最初に頁をめくるのはこの談春の連載である。というか、最近、この雑誌を毎号買うのは、たしかにアドルノ再考なんて小特集もあるわけですが、ほとんどこの連載を読みたいがためだ。前号での米朝とのエピソード、破門後の談志と小さんにまつわる話も泣けたが、今号の勉強会の話もおもしれえ。談春も生でみてえよ。

 ところで、談春曰く「失敗った時はとにかく時間を置かずに謝れ、というのが落語界の鉄則で、その対処の仕方で、執行猶予がつくか、実刑になるかが決まる」ってえのは、厳しさはともかく基本的にはどこでも同じことだよね。そもそも、あいだがあくと何を謝らなきゃならないんだかどんどん曖昧になっていく。だって、まずいことしたってのにそれを放っておくこと自体が「コイツはどういう了見だ」ってことになるでしょう。つまり、相手にさらにいろいろと自分のまずいところを考えさせる余地を与えてしまうわけだ。こうなれば、謝るべき方も、「敷居が鴨居に」ってやつで、ますます近寄りがたくなる。で、互いが互いとコンタクトをとらないまま、お互いについての悪印象を膨らませていく。こいつは悪循環だ。でも、トラブルのきっかけって、多かれ少なかれこの手のディスコミュニケーションが含まれているのではないかと思う。