龍三と七人の子分たち、ジヌよさらば

 と二本続けてみたのだけれど、松尾スズキには失礼ながら、二本目は一本目の引き立て役になってしまったように思う(だから、いささか厳しめになっていると思う)。まさに「アマちゃん」入ってます。残念ながら、松田龍平の役者としての力量を十分引き出せているとは思えないし、二階堂ふみの使い方ももったいないーーー。コメディとしてみせるなら、北野作品はとても自然で特別なことはしてないようみ見えるかもしれないが間合いが絶妙。あるいみ従来の北野作品を踏襲しているといってよい。ただし、暴力の代わりに笑いなのだ。とにかく特別な映像的仕掛けをすることもなくたんたんと出来事が進行し、それでも自ずと笑いがこみ上げてくる。役者はその存在感だけで笑いを誘える雰囲気をたずさえるなか(とにかく、顔だけで敵役に勝ってる)、藤竜也が親分として「締める」一方、中尾彬のボケ役もいい。若頭が近藤正臣なんですな。バスジャックのカーチェイスも。そう、バスでカーチェイスなんて「おー」と思うんだけど、なんかたらたらしていてそれがまたよかったりする。しかし、これイマドキ受けないかもしれないなとも思う。客の入りもあまりよくなかったぞ。べつにじじいがかっこいいわけじゃあないんだし、かっこよくなくてもいいんだよ(かっこいい年寄りならイーストウッドの方で)。「ダサイぐらい我慢しろよ」と私だけが納得してもあれだが、とりあえず、もう一回いくチャンスはあるのだろうか?という問題は大きい。落語好き、古典的な漫才好きにはたまらないはず。ちなみに、 羽毛布団売ってる辰巳琢郎が安倍首相みたいに見えました。「私を信じてください」。