ビッグ・アイズ

 ティム・バートンって決して好みじゃないんだけと、やっぱり見ておかなければと思ってしまうんだよね。最初のカットからして決まってるし明かりの使い方がうまい。過剰にあかるい外の世界はとてもきれいだけどどこかフェイクな感じがして、逆にエイミー・アダムスのアトリエとの対比も明瞭に(そこに、ビーチボーイズですよ)。しかし、本人もほんとにブロンドだったのかな。ブロンドであの髪型だとどうしてもモンローを思い浮かべてしまう。どちらも自分の人生に嘘をつかなきゃいけなくなる。そして、最後の裁判のシーンで山っ気たっぷりのいかにも嫌な感じの夫が「マリリン・モンロー」っていうんだよね。逆に、彼女が買い物に行ってキャンベル・スープの缶を放り込むのも印象的にだ。彼女の絵が際立っていて、それこそここから奈良美智あたりとか連想させる一方、これをポップ・アートにしてしまうのは旦那の方なんだよね。絵が売れないからビラを売り出したって、いやまさに複製芸術ですよね。
 

  

美術手帖 2014年 11月号

美術手帖 2014年 11月号