ステファン・エセル

 やはり、ガタリフの映画はいまいちだったな。デモは見せ場だと思うけど。二冊とも読んでみましたが、二冊目はいささかお説教臭かった。基本的には、これにつきると思う。憤りは大切です。憤りから逃れ癒されるばかりの世界には背を向けたい。でも、憤りだけでは人間は生きてはいけません。他人を大切にするためには、まず自分を大切にすることができなければなりません。

 私はすべての人に訴えたい。ひとりひとりが怒るべき理由を見つけてほしい。かつてナチズムに怒りを覚えた私のように、怒りの対象を持つ人は力強く前進する戦士となり、歴史の流れに加わる。歴史の脈々たる流れは、一人ひとりの力で続いていくものである。この流れが向かう先は、より多くの正義、より多くの自由だ。---。正義と自由を求める権利は誰にもでもある。この権利を享受していない人々を見つけてたら、その人たちのために立ち上がり、権利を勝ち取るのに力を貸さなければならない。

怒れ! 憤れ!

怒れ! 憤れ!

若者よ怒れ! これがきみたちの希望の道だ―フランス発 90歳と94歳のレジスタンス闘士からのメッセージ―

若者よ怒れ! これがきみたちの希望の道だ―フランス発 90歳と94歳のレジスタンス闘士からのメッセージ―

 ただ、怒りや憤りは、正義や公正を高らかに歌い上げるよりも、不正義や不公正に気づいてしまうことから始まってしまうに違いない。この不条理を言葉にすることからすべてが始まるはずだ。
The Faces of Injustice (The Storrs Lectures Series)

The Faces of Injustice (The Storrs Lectures Series)