制度としての基本権

 必要があっておさらいをはじめる。基本権は社会学的な観点からは制度として扱われ、事実的な行為態度予期の複合体を示している。
 「行政という相対的に自律的なシステムの形成は、社会的文化の一般的な過程の一部分にすぎない」(24-25)。「機能的に特定化された分化が可能となるのはただ予期形成とコミュニケーションの一定の「融通性」とが制度化されている場合だけである」(28)。基本権は「コミュニケーションをある程度自由に処理しうる可能性と動機付けの可能性とを確保する潜在的機能を有している」(30)。「コミュニケーションとは、人間間のコンタクトに際しての意味構成の基礎的な社会過程であって、それなしには人格性も社会システムも考えることができない」(32)。
 「分化したシステムはコミュニケーション的行為態度の自己制御に広範に委ねられねばならない、即ちこのコミュニケーション的行為態度が自らシステム・レリヴァンスに即して一般化されるということに委ねられねばならないのである」(50)。その基礎となるのは、「貨幣と自由に入脱しうるメンバーシップ」である。さらに、「コミュニケーション領域の中でそれぞれ固有の合理性基準とサンクション・メカニズムとが発展せられる場合だけである」(52)。「その利害の特定化によって、またその環境世界の予見可能性のゆえに、広い領域に及ぶ無関心を可能にする」(53)。分化したシステムは相互に自由な関係にたつ。

制度としての基本権

制度としての基本権

Grundrechte als Institution: Ein Beitrag zur politischen Soziologie

Grundrechte als Institution: Ein Beitrag zur politischen Soziologie