家屋(いえ)と日本文化

 一読してみたかぎりでは、エッセイ風で本全体の構成がよく見えない。参考文献一覧もないし、訳者解説もないので著者がどんな人物かもよく分からない。ちなみに、ベルクの引用はない。しかし、この指摘はお勉強になった。「贅沢取締令は、伝統的な工法に対応した形態や寸法が建材総括となっており、工法上の規則を幻覚に守るように矯正した」(218頁)。「明治維新で封建的な障害や社会的な職業上の公式のカテゴリーがなくなり、またそうした社会的カテゴリーのけじめをつけるためだった贅沢取締令が廃止されても、大工たちは先祖から伝わる工法を忠実に守っていた」(218-9頁)。というわけで、日本の家屋が規格化されているわけですな。

家屋(いえ)と日本文化 (フランス・ジャポノロジー叢書)

家屋(いえ)と日本文化 (フランス・ジャポノロジー叢書)

 結局この「フランス・ジャポノロジー叢書」は5冊でているらしい。しかし、これ、原書がつきとめられないよ。
http://ci.nii.ac.jp/ncid/BN15591303