境界事象と精神医学

 ちょっと気になるので久々にめくっていたら、境界例との比較でパラノイアを扱った部分があったのでそこを抜粋。
「患者の解釈妄想体系が、長年の孤立から生じる周囲との緊張関係や慢性的な葛藤の上に花咲かせていることは間違いない。彼は、自然な感情の表出、ユーモアの感覚、(内省型患者にみられるような)無防備な内省、他人に心を開くことなど、およそ形態の定まらぬもの、柔軟なものをすべて排斥することによって、健常者よりもはるかに堅固な人格構造を作り上げている」(214頁)。
 協調的な仕事はできないが、一人でやる仕事に大きなミスをおかすことがない。自分の周囲は敵ばかりであるが、「この緊張関係に耐えぬき、孤独の中で戦い続けるだけの意志の強さを持っている。彼は妄想解釈を人目から各紙、取りつくろう術を知っている。数年に一度、周囲との間に小さな摩擦を引き起こすことがあるけれど、大きな争いへの発展は慎重に避けている」。というわけで、「安定」して人と共存する能力を身につけているといってよいので「心の底からの和解や人生観の修正が可能な段階は、どうに過ぎてしまっている」(214頁)。
自己愛性人格障害との比較だとどうなるんだろう?