絀川の宗教

 この本の2章のキーセンテンスはこれだと思うな。そして、これを和辻の議論とつきあわせたい。「領主と家来の関係、つまり、忠誠と集合的目標への自己犠牲的奉仕を強調していることはわれわれが日本の政治形体の特徴と思うモノであり、かなりの程度まで家族にも浸透しているものであるが、また、商家の著しい特色ともなり得るものであった」(109頁)。ついでに、明治維新以降だってさして変わらないものだったことも確認しておきたいな。ただ、他方で、日本ではバブル以前までは恒常的に労働力不足だったということも確認されておいてよいだろう。

徳川時代の宗教 (岩波文庫)

徳川時代の宗教 (岩波文庫)