絀川の宗教

 ペーパーバック版の前書きはいかにもベラーらしいかと。あとは、パーソンズの図式を使わないでくれれば。

一人一人の集合体に対する特殊主義的なむすびつきは、集合体の長に対する忠誠として象徴される。---。この忠誠は、その人物が誰であるかを問わず、集合体の長に対する忠誠であることに留意する事が大切である。それは、人物に対するよりも、その人物の地位に対する忠誠である(55頁)。

 そうじゃないと「主君押し込め」なんて考えられないよな。だから、たとえば「家長の地位は、家族においては中心的であるが、外部にむかっては、国家の最端末に位置し、「公的」な役割を果たしている。家族は、政体に対立せず、その中に統合され、ある程度まで政体によって貫徹されている(63頁)。
 この指摘、和辻よりも正しく、しかも、和辻の倫理学とより整合的に思えるのだがどうだろう?

徳川時代の宗教 (岩波文庫)

徳川時代の宗教 (岩波文庫)