豊臣平和令と戦国社会

 この本、業界的にどんな評価を受けているのか知らないけれど、きっと名著なんだろうと思う。だって、序を読むだけで、私にもわかるような素朴な疑問を提示し、控え目ながらこれまでの学説に真っ向きって勝負しようという気合いにみなぎっているのだから。笠松網野勝俣あたりと違って、業界を超えた知名度はイマイチ低いのだが、藤木氏の業績を見落としてきたのは私の不覚の一つだな。あらためて、

秀吉の天下一統=平和というのは、おそらく中世最後の段階を通じて広く一貫して現れる領国平和令の展開の動向のなんらかの総括であり、平和の動向と平和令の対象は戦国大名から深く中世村落にまで、中世社会の総体に及んだに違いないと考えられた(vi)。

だから、和辻みたいに単純なことは言えるはずがないのだ。
 

豊臣平和令と戦国社会

豊臣平和令と戦国社会