戦国の作法

 いや、この本、ものすごく面白い。まずは、「言葉戦い」。武士の名乗りから始まり、中世の村の紛争解決。ひいては、自分の子ども時代まで。「お前のかあちゃん出べそ」とか悪口は歌と化してましたな。それから、身代わり。『ホモ・サケル』を思い浮かべてみるのもよいかも。

中世の児童・女性・老人などの人々は、乞食などと共に、「一五歳以上・六〇歳以下」の成人男子=村役の負担者(俗)とは峻別されて、中世の村では責任能力ある世紀の成員とはされず、法律上の能力もなく、刑事責任も問われなかった。いわば、役を担うモノと人質となるモノとは、はっきりと区別されていたのである(72頁)。

 それから、落書き。「落書というのは、村人たちの無記名投票で犯人を決めるやり方で、ときに公開で集団的に、またひそかに個人で行う、この犯人密告の慣行は、中世にはかなり広く行われていたらしい」(136頁)。
 庄屋の位置づけ。

戦国末の庄屋は、庄のの地元を代表して、年ごとの「毛見帳」などの帳簿や「年の免」の先例を主体的に管理し、荒れ田の「内検」「斗代」の割り付け、計量から運送まで、年貢取り立てのすべての実務を自ら取り仕切っていた。ここにみる限り、領主側は庄屋に任せ切りで、現地の実情や先例などは、何一つ掌握できてはいない様子である」(202頁)。

 それかに「中世後期の日本の惣村は、日常的に自前の武力をもち、若衆を中核とする自立した自検断・武装の態勢をとっていた」(106頁)。
 

戦国の作法 村の紛争解決 (講談社学術文庫)

戦国の作法 村の紛争解決 (講談社学術文庫)