野暮だから個々の作品の解説はしない。でも、大半は複数の作品の組合せでコンセプトが成り立っているように感じられる。奈良の作品を見るときのポイントの一つは目をつぶった少女や眼帯をつけた少女だと思う。こうした少女はいわば現実を見ることを拒絶している。これはしばしば奈良美智がサブカル、とりわけパンク、なによりもラモーンズを作品に引くのと通じる。つまり、反体制的なものと親和性がある。ただし、それはかわいくなった、いわば無力なわれわれの自画像であるわけだが。
しかし、今回特徴的だったのは、目を開けているのに明らかに現実を見ていない少女が描かれていりすること。サブカルはほとんど引用されていないこと。そして、明きからにそれが3.11を意識しているということだ。3.11の光景を前にすれば、いくら目を開けていてもそこにある光景は現実のものとは思えまい。あるいは、一度それを経験してしまえば、それ以前の自分ではいられまい。そんなことを考える手掛かりが各所にあるように思う。
客層は、ふつうの展覧会とはやはり違うな−。山ガール、森ガール(って何かよくわかってないんだけど)っぽい女性陣が目立ちました。はっきり言おう。朝日の評は無内容だ。
- 作者: 奈良美智,木村絵理子,高橋しげみ,加藤磨珠枝,冨澤治子
- 出版社/メーカー: フォイル
- 発売日: 2012/08/10
- メディア: ペーパーバック
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