「上流諸階層における相互行為」

 まだ、うまく消化できないので『社会構造とゼマンティーク1』の続き。ルーマンは、この過程におそらくはギアツを意識してinvolutionという語を当てているようですが---。

宗教、政治、専門科学、経済、家族生活が除外されることによって、相互行為という社会関係に真空状態が残され、そこに道徳が流れこむ。この道徳は、もはや上流階層の卓越性を象徴する責務を負っていない。道徳は、普遍的-人間的なものに拡張され、それと同時に機能にかかわる能力から取り除かれている(117頁)。

 その結果、人に好かれることが相互行為の原理になる。「人は、他人に対して人に気に入られる可能性を与えることによって、自らが最もよく他者に気に入られるのである」(122頁)。「これと並行して、上流階層の相互行為においては、上流階層内での地位の差異の強調が後退する」(122頁)。

位階秩序が序列化機能を失うにつれて、相互行為レベルそのものにおいて、それを埋め合わせるものが発展しなければならない。とりわけ、道徳的な問いを扱いさいの礼儀のメタ道徳、さらにコンフリクトの回避や相手側の自己言及的な動機形成に対する寛大さの一般規則がそれである(123頁)。

社会構造とゼマンティク 1 (叢書・ウニベルシタス)

社会構造とゼマンティク 1 (叢書・ウニベルシタス)