異形の王権

 当面、仕事のない日は、午前中は歴史の本、午後は社会学の本を読むことにしようと思う。再読して確認。「異形異類」。「かつての神の姿、聖なる衣裳が、次第に忌むべき人ならぬ人のそれとされていく過程をここにうかがうことができるが、鎌倉末・南北朝期はなおその過渡期にあったといってよい」(137頁)。

やがて江戸時代にかけて、こうした賤視、差別は体制下・固定化され、被差別部落遊郭として場所的にも固定されていくことになるが、さほど遠からぬ過去において、実際に天皇・神物に直属していた事実の記憶は、これらの被差別部落や遊女をはじめ、鋳物師、木地屋、薬売などの商工民、当道等々の芸能民の心中に強く刻印されており、伝説化した天皇や神物と、その職能、出自との関わりを物語る、説教節などの芸能の作品をはじめ、さまざまな由緒書、縁起、偽文書として、こうした人々の世界に生きつづけ、社会に無視し難い影響を与えていった(241頁)。

 ライブイラリー版だと解説を鶴見俊輔が書いているのだが、この影響ってどれほどのものとして評価されているのだろう。百姓一揆の衣裳については「自分たちの身分を誇示するためのものだった」という解釈もあるし、近世史の本を読むとまた違った印象を受けるのだが*1
 飛礫(つぶて)の話も出てたのでした。このあたりについては、いつかこれを読みたい*2。また、このあたりにまつわる話はここに出てくる*3

異形の王権 (平凡社ライブラリー)

異形の王権 (平凡社ライブラリー)

 

*1:たとえば、http://d.hatena.ne.jp/Talpidae/20100719

*2:

つぶて (ものと人間の文化史 44)

つぶて (ものと人間の文化史 44)

*3:

僕の叔父さん 網野善彦 (集英社新書)

僕の叔父さん 網野善彦 (集英社新書)