「感動した」って言うのなら

「こうして、日本の民主政治は、選挙権という点に関しては、どこの外国に比べても劣らないほどに、国民の間に広い地盤を持つことになった。しかし、これは、いま言うとおり、敗戦の結果なのであって、日本人がほんとうに民主政治の意味を自覚して、自分たちの力で選挙権の範囲をこれだけに推しひろげたわけではない。したがって、ここでよほどしっかりと民主政治のしかたをのみこみ、人間としての教養と政治に関する常識とを養っておかないと、この広く認められた選挙権が宝の持ち腐れになる。一時の困難に打ちひしがれたり、過激な思想に雷同したりして、みんなで独裁者をかつぎ挙げたりるすようなことがないとは限らない」(97頁)。

 戦後しばらくのあいだ、文部省の作った「あたらしい憲法のはなし」と「民主主義」という教科書が中学一年の社会科で使われていたことはわりとよく知られている。ボクも「あたらしい憲法のはなし」の方は見たことがあったのだけれど、「民主主義」の方は読んだことがなかった。そんなわけで、下の本を購入したのだが、これがなかなか面白い。いまどきこんなことを言う人がいたら、どんな風に受けとめられるのでしょう。
 そして、この本を読みながら改めて思ったのは、政治教育の必要である。現在、選挙権の引き下げが議論され始めている。だが、引き下げを考えるなら、これを機会に政治教育についてまじめに考えてみてもよいのではないだろうか?と、以前から思いつつも、なかなかそこまで手を広げる余裕がない。たとえば、このガットマンの本とかどうなのでしょう?

あたらしい憲法のはなし・民主主義―文部省著作教科書

あたらしい憲法のはなし・民主主義―文部省著作教科書

民主教育論―民主主義社会における教育と政治

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